ビション・フリーゼとは？愛らしい特徴と魅力、育て方を徹底解説

ふわふわとした白い毛並みを抱えて、ビション・フリーゼはまるで小さな雲が地上を歩いているようです。

その歴史をたどると、地中海の海風が香る遥かな時代へと私たちを誘います。

彼らのはじまりは、古代の地中海地方に暮らした小型の犬たちからでした。

航海者たちの腕に抱かれて、あるいは船上で波のリズムに揺られて、彼らは島々を旅しました。

特に、カナリア諸島で出会った人々の心をつかみ、「テネリフェ犬」として愛されました。それは、長い旅の中で出会った最初の家族のようなものだったのかもしれません。

16世紀、イタリアの貴族たちは、この小さな犬たちに夢中になりました。

ビション・フリーゼは彼らの膝の上で静かに丸くなり、その温もりは詩や絵画にも宿りました。

その後、フランスの宮廷へと連れてこられると、時の王たちはこの犬たちを「小さな幸せ」として愛でたのです。

けれども時代は移ろいゆき、フランス革命が吹き荒れる中で、ビション・フリーゼたちもまた、時代の風に揺さぶられました。

宮廷の煌びやかな部屋を離れ、大道芸人の相棒として広場に立つ日々。

けれども彼らはどこにいても人々の心を温め、笑顔を引き出す力を持ち続けました。

20世紀に入ると、フランスとベルギーの人々が、この愛らしい犬たちをもう一度家族として迎え入れたいと願い、彼らを守り育て始めました。

1933年、「Bichon à poil frisé（巻き毛のビション）」という名前を与えられ、再びその存在が世界に広まりました。

そして、ビション・フリーゼは今も私たちのそばにいます。

軽やかな足取りと、まっすぐにこちらを見つめるその目は、遠い昔の海風や宮廷の記憶を少しだけ運んでいるように思えます。